患者さんの本音とは?

先ほどの「神経性大食症」の患者さんは、
果たして初診時にどれほど本当のことを
お話になったのでしょうか?


私の推測する限り、過食嘔吐に至るまでの
経過、そして現在、毎日過食嘔吐して
お金がかかって困る、というのは
少なくとも本当のことだと思います。

患者さんの過食嘔吐について
婚約者の方が知っているというのも
事実でしょう。

では、患者さんの過食嘔吐に関して
婚約者の方が
「大丈夫だよ。僕がついているから」
と言ったのは本当でしょうか?

もしかしたら、本当に婚約者の方に
このように言われたのかもしれません。

でも、患者さんがこの言葉で本当に
安心感を得たならば、病院に行こう
とは思わないはずです。

でもその女性の患者さんは、実際は
病院の助けを求めて診察に現れた。

つまり、婚約者の方に慰めるつもりで
このように言われても、患者さんの
不安は軽減しなかったのです。

そして、婚約者の方も、患者さんが
過食嘔吐に本当に困っているかを
どこまで理解しているかも怪しいもの
です。

何せ、ご本人がむちゃ食いしてトイレ
で吐いている現場を実際には
見ていないのですから。

そして、これはあくまでも、何人もの
摂食障害の患者さんと対峙してきた
私の勘ですが、おそらくその女性は
婚約者に黙って診察を受けに来たのでしょう。

そして、仕事をやめてずっと家にいるという
今の状況にも決して満足しているわけではない。

初めての診察では、担当医と表面的な話しか
できなかった。

そして、今後婚約者に黙って病院通いを続ける
わけにはいかない。

通院を続ければ診察代もかかるし、いずれは
婚約者にもばれてしまう。

このような理由から、その女性は再診には
現れなかったのです。