1回だけ診察に訪れた患者

その26歳の女性は、「たくさん吐いて食べてしまう
習慣を何とかしたい」と診察に訪れました。

予診を私が取り、診察は教授が担当しました。


現在、来年結婚予定の婚約者と一緒に
住んでいますが、婚約者が仕事に出かけ、
家に一人になるとむちゃ食いが
始まるのです。

その後、すぐにトイレに駆け込んで、
喉の奥に指を突っ込んで吐きます。

吐いた後は、もう二度とこんなことは
しない!と誓うものの、ちょっと買い物
に出かけ、食べ物を見た途端に買い込んでは
むちゃ食いしてしまう。

惣菜、パン、ポテトチップスをはじめと
したスナック類、カップ麺など。
手軽に食べられるものなら何でも
むちゃ食いの対象になります。

このようなむちゃ食い、そして自分で吐く
という不適切な代償行為はもう半年前から、
一日最低2回は行っているというので、
診断は「神経性大食症」です。

4ヶ月前から一緒に住みだした婚約者が
在宅しているときは、このような
むちゃ食い、嘔吐はしないように
しているとのことです。

体型は見た感じ標準体型でしたので、
敢えて体重は聞きませんでした。

顔色をはじめとした皮膚の色、歩く時
も特にふらついている様子もないので、
身体上危機的ではないと判断し、
細かな身体検査は次回行うことにしました。

過食嘔吐している自分にも困るが、食べては吐くので
食べ物にかけるお金がものすごくかかってしょうがない、
とも話されました。

一通り話を聞き、過食したい気分を和らげる薬パキシル10mg
が処方されました。

次回身体検査を行うからと、1週間後に再診の予約を
取りました。

でも、その患者さんは二度と診察には
現れませんでした。