押さえつけて鼻から管を入れて

半月前より全く食べない「神経性無食欲症」の
患者さんが入院してきました。

19歳、大学1年生。


元来、高校の時から拒食ぎみでしたが、
大学入学のため、上京して一人暮らし
を始めた頃より、一切食事しない日
が多くなりました。

ご本人の状態を知らせる友人からの
電話で急遽、ご両親が上京し、
本人を強制的に病院に連れてきました。

身長159cm、体重19kg、BMI=7.51

こんな低体重にもかかわらず
ご本人は普通に歩いていました。

ただ、心臓には不整脈があり、
やや意識混濁の状態も見受け
られました。

点滴も水分も一切拒否。

身体検査するまでもなく、いずれ
命が危なくなることは明らかでした。

ご本人が病室で昼寝しているという
知らせを受けると医師3人、看護師7人、
男性職員2人で病室に向かいました。

これだけの人数を集めたのは、体重の
少ない患者さんといえども、拒絶する
時にはものすごい力を出すからです。

そして、寝ている患者さんの頭、胴体、
足を両サイドからがっちりと押さえて
から起こしました。

つまり、全く自分の口から食べないこの患者さんの
命をつなぐために、鼻から胃に向かって管を入れる
鼻腔栄養(マーゲンチューブ)を行うことに
決めたわけです。

起こしたのは、患者さんが管を誤嚥しないように
するためです。

突然起こされて、鼻から管を入れられて、
呑み込むように言われた患者さんは、正に
パニック状態でした。

でも、この摂食障害の患者さんの命を助けるには、
この方法しかなかったのです。