縄跳びが命よりも大事

その患者さんは、一日1200Kcal限定の食事なら
するというので、カロリー限定の特別食を
出し、その他は点滴で補うことにしました。


点滴にもカロリーが様々な種類のものが
あるのですが、「アミノフリード」という
高カロリー輸液を行った後が大変です。

患者さんは、自分に入れられるどの点滴が
カロリーが高いかを抜け目なくチェックして
いました。

「アミノフリード」の点滴が終わるや否や、
縄跳びをつかんで廊下に飛び出し、
「消費しなきゃ、消費しなきゃ」と
何百回でも飛び続けていました。

縄跳び中に失神したことも何度もあります。

また、1200Kcal限定の食事も夜しか食べず、
結局自分の口から入れている栄養は
一日400Kcal未満で、ほとんど
点滴で命をつないでいる状態でした。

その点滴も自分で抜いてしまう行為が
続いたため、点滴中は身体拘束で
動けないようにしていました。

血液検査でも相変わらず、カリウム低値、
貧血、低血糖、コレステロール高値(身体
飢餓状態による)があり、不整脈も改善
しないため、縄跳びも禁止しました。

「ほとんど食べないのに、これ以上縄跳びを
続けたらあなたは死んでしまう」と説得しても
看護師の目を盗んでは、縄跳びに励んでいました。

この患者さんにとって大事なのは、自分の命
よりも、縄跳びでカロリーを消費すること
なのです。

結局、言うことを聞かないので、縄跳びを
させないためにも、退院するまで一日中
身体拘束せざるを得ませんでした。

運動禁止と強制的な点滴管理で、心臓の状態
も改善し、体重も35kgに増え、命は取りめた
ので、いったん退院となりました。

しかし、3ヵ月後、また同じ状態で入院
してきました。