とんかつに固執する「神経性無食欲症の患者」

その20歳の「神経性無食欲症」の患者さんは、
2度の入院治療を経験し、その後週1回の割合
で外来に通ってきていました。


身長156cm。
外来に来るたびに体重を測るのですが、いつも
30kg前後。

31kgだと機嫌悪くなり、30kg未満だと満足そうな
顔をします。

患者さんは、口には出しませんが30kg未満で
ずっといたいのです。

その患者さんは摂食障害になる前にはとんかつが
大好物でした。

今は、そんなカロリーの高いものは、一切口
にせず、夕食に漬物と味噌汁を少し摂る程度。

お米などの炭水化物は一切摂りません。

「昨日、とんかつを見るためにわざわざ夜の10時に
お店まで出かけていったんですよ」
と外来で母親が切り出しました。

昨晩の夕食で、その患者さんを除いてみんな
とんかつを食べていました。

「お前も食べるか?」と父親が患者さんに
自分のとんかつを分けてあげようとした
途端、急にわーっと泣き出しました。

何とか患者さんの興奮をおさめて、母親が夕食の
後片付けをしている時、患者さんは急に
「やっぱりとんかつ食べたかった!」と
怒り出しました。

そして、商店街のとんかつ屋に今から行く!と
言い出しました。

ご両親は、びっくりして、今日はもう遅いから
明日にしなさい、と説得しても聞き入れません。

とうとう父親も堪忍袋の尾が切れて、
「それなら行って来い!」と投げ出すように
言うと患者さんは急にしょげた態度になったと
いうことです。