治療者の立場から

摂食障害の患者さんが治療に訪れた場合、
対応や治療の仕方は、個々の患者さんに
よりそれぞれ異なります。


良い薬を与えたから、話を聞いてあげたから
治るほど、摂食障害という病気は単純なもの
ではありません。

摂食障害で栄養不良に陥っている患者さんに
対して、命の危険がないよう、最低限の
身体管理を施すことはできます。

でも、いつまでたっても医療的介入がないと、
生きられないようでは困ります。

患者さんは、いつかは自分から正常に食べて、
自分の力で生きていかなくてはならない
のです。

病院としてできることは、まず、患者さんが自分で
摂食障害を克服し、立ち直っていけるよう、
有用な確かな情報を提供することです。

診察室では、「心の整理」となる話が展開
されることもあります。

また、昨日また過食嘔吐した、など、日頃の
体験をありのまま話していただき、それを
否定も肯定もせず傾聴するだけのことも
あります。

治療者の役割は、摂食障害を治すきっかけとなる
ことを専門家の立場から様々に提供すること。

そして、それをつかみ取るのは患者さん
ご自身です。

患者さんが、与えられた情報をつかみ取る
手助けまですることは、残念ながら治療者
にはできません。

患者さんが、もう病院から得るものは
何もない、と思ったとき、診察に姿を
現さなくなる。

それでいいと思っています。

患者さんご自身が自分の問題と向き合う
強さを少しでも得られたことを、願い
ながら。